日本のお金について語るとき、江戸時代以前、江戸時代、近代、現代の4つに区別することができます。
この記事では、かつて日本で発行されていた古銭の中で、特に代表的なコインを一覧で紹介します。
古代日本のメジャーな古銭一覧
まずは最も古い時代。古代日本で使用されていた通貨を紹介します。
古代日本の通貨
7世紀の終わりごろ、何度か銅でできたお金が作られていました。その中の一つが、日本最古のお金と言われることもある『富本銭(フホンセン)』です。
和同開珎よりも古い時代に日本で作られたと推定されていますが、残念ながらこれが広く流通することはなかったようです。
日本で初めて本格的に流通した通貨は708年に発行開始された和同開珎(ワドウカイチン)です。その後、約250年の間に12種類の通貨が発行され、これを皇朝十二銭と言います。
富本銭(フホンセン) | 和同開珎(ワドウカイチン) |
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発行開始:683年頃 サイズ:直径24.4mm | 発行開始:708年 サイズ:直径24mm |
※画像はWikipediaから引用
皇朝十二銭は日本独自の通貨として長く使われていましたが、残念ながら958年発行の乾元大宝(ケンゲンタイホウ)を最後に発行も流通も途絶え、次の日本独自通貨の流通は江戸時代まで待つことになります。
皇朝十二銭についての詳細や貨幣一覧は↓↓の記事を参照してください。
皇朝十二銭より後の通貨
奈良~平安時代に2世紀半以上も発行が続いた日本の古銭、皇朝十二銭ですが、その後600年以上に渡って日本独自の通貨は発行されず、主に中国から輸入した宋銭や明銭などが使われていました。
日本の古銭ではありませんが、日本でも使用されていた通貨として、その一部を紹介します。
太平通宝(タイヘイツウホウ) | 永楽通宝(エイラクツウホウ) |
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発行開始:976年 サイズ:直径-mm | 発行開始:1411年 サイズ:直径25~26mm |
※写真はWikipediaから引用
お勧めの書籍
【井上正夫著 日本のお金の歴史(飛鳥時代~戦国時代)】
子供向けの児童書ながら、日本における通貨の成り立ちや使われ方、流通していた通貨などが分かりやすく書かれています。
本ブログの管理人が参考にした書籍であり、日本の古銭入門にお勧めの一冊です。
江戸時代のメジャーな古銭一覧
戦国時代までに流通した通貨の多くは銭貨でしたが、江戸時代に入ると金貨・銀貨・銭貨の3種が使われるようになります。
現代のお金の単位が『円(エン)』の1種類であるのに対し、江戸時代は金貨・銀貨・銭貨のそれぞれに『両(リョウ)』・『匁(モンメ)』・『文(モン)』と別々の単位を使用していました。
交換比率も一定ではなく、金貨1両=銀貨50~60匁=銭貨4000~10000文と時期によってばらつきがあったようです。
江戸時代の金貨
いわゆる大判・小判と呼ばれる金貨です。
基本単位は『両(リョウ)』。小判1枚=1両であり、その4分の1が『分(ブ)』。さらにその4分の1が『朱(シュ)』と4進法が使われました。(1両=4分=16朱)
江戸時代270年の間に発行された小判は11種類ありますが、ここではその中で最も品質が良く、最も長く使われた『慶長金』と、史上最後の小判である万延小判(姫小判)を紹介します。
慶長大判(ケイチョウオオバン) | 慶長小判(ケイチョウコバン) |
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発行開始:1601年 重量:約165g 品位:約71% | 発行開始:1601年 量目:17.85g 品位:約85% |
慶長一分判(ケイチョウイチブハン) | 万延小判(マンエンコバン) |
発行開始:1601年 量目:4.46g 品位:85% | 発行開始:1860年 量目:3.30g 品位:56.8% |
※画像はWikipediaから引用
江戸時代の銀貨
1601年に誕生した慶長金銀ですが、金貨がその個数を数えるだけで価値がわかる計数貨幣であったのに対し、銀貨は毎回その重さを計って価値を確認する秤量貨幣でした。(1枚ごとの大きさや重さが統一されておらず、価値がバラバラだった)
支払い金額に合わせるため、余剰分を切断して使われたり、米粒ほどの小さな銀貨(豆板銀)なども存在しました。
基本単位は『匁(モンメ)』。その10分の1が『分(フン)』。さらにその100分の1が『貫(カン)』と10進法が使われました。(1匁=10分=1000貫)
1772年に二朱銀(『朱』は金貨の単位)が登場し、ようやく金貨のように数で価値を計れるようになります。
慶長丁銀(ケイチョウチョウギン) | 慶長豆板銀(マメイタギン) |
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発行開始:1601年 品位:約80% | 発行開始:1601年 品位:約80% |
南鐐二朱銀(ナンリョウニシュギン) | ー |
発行開始:1772年 品位:約98% |
江戸時代の銭貨
銅や鉄などで作られた通貨であり、金貨や銀貨を持てない庶民に広く流通しました。
基本単位は『文(モン)』であり、1000文=1貫文(カンモン)と呼んでいました。
寛永通宝(カンエイツウホウ) | 天保通宝(テンポウツウホウ) |
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発行開始:1636年 1枚の価値:1文 or 4文 | 発行開始:1835年 1枚の価値:100文 |
文久永宝(ブンキュウエイホウ) | ー |
発行開始:1862年 1枚の価値:1文 or 4文 |
※画像はWikipediaから引用
お勧めの書籍
【岩橋勝著 日本のお金の歴史(江戸時代)】
子供向けの児童書ながら、江戸時代の通貨の成り立ちや使われ方、流通していた通貨などが分かりやすく書かれています。
本ブログの管理人が参考にした書籍であり、日本の古銭入門にお勧めの一冊です。
明治時代のメジャーな古銭一覧
明治時代以降、日本は西洋を真似た新しい経済の構築を目指し、近代国家にふさわしい貨幣制度が整えられていきます。
明治4年、日本政府は新貨条例を制定。これまでに流通していた両(リョウ)、匁(モンメ)、文(モン)の3種類の通貨を廃止して、現代も使われる『円(エン)』を採用した新たな通貨を発行しました。
1円=100銭(セン)=1000厘(リン)と10進法が採用されました。
明治時代の金貨/銀貨一覧表 | ||||
明治3年~ | 明治6年~ | 明治30年~ | 大正11年~ | |
金貨 | 旧20円 | 新20円 | ― | |
旧10円 | 新10円 | ― | ||
旧5円 | 新5円 | ― | ||
旧2円 | ー | |||
旧1円 | ー | |||
銀貨 | 旧1円 | 貿易銀/新1円 | ― | |
旭日龍50銭 | 龍50銭 | 旭日50銭 | 鳳凰50銭 | |
旭日龍20銭 | 龍20銭 | 旭日20銭 | (白銅) | |
旭日龍10銭 | 龍10銭 | 旭日10銭 | (白銅) | |
旭日龍5銭/旭日5銭 | 龍5銭 | (白銅) | (白銅) |
明治時代の金貨
明治4年の新貨条例制定以降、金貨は日本の本位貨幣として発行されました。
新貨条例に伴い発行された通貨を一般に旧二十円金貨などと『旧』の字をつけて呼び、明治30年の貨幣法制定時に発行された通貨を一般に新十円金貨などと『新』の字をつけて呼びます。
新旧 二十圓金貨 | 新旧 十圓金貨 |
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品位:金90%・銅10% (写真は旧二十圓金貨) | 品位:金90%・銅10% (写真は旧十圓金貨) |
新旧 五圓金貨 | 旧二圓金貨 |
品位:金90%・銅10% (写真は旧五圓金貨) | 品位:金90%・銅10% |
旧一圓金貨 | ー |
品位:金90%・銅10% | ー |
※画像はWikipediaから引用
明治時代の銀貨
明治4年の新貨条例制定以降、日本は金貨を本位貨幣とし、その補助貨幣として50銭以下の銀貨 及び 銅貨を発行しました。
またそれとは別に、貿易用の一円銀貨も発行されました。
新旧 一圓銀貨(円銀) | 五十銭銀貨(4種類) |
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品位:銀90%・銅10% (写真は新一圓銀貨) | 品位:銀80%・銅20% (写真は龍五十銭銀貨) |
二十銭銀貨(3種類) | 十銭銀貨(3種類) |
品位:銀80%・銅20% (写真は龍二十銭銀貨) | 品位:銀80%・銅20% (写真は龍十銭銀貨) |
五銭銀貨(3種類) | ー |
品位:銀80%・銅20% (写真は旭日龍五銭銀貨) | ー |
※画像はWikipediaから引用
お勧めの書籍
【草野正裕著 日本のお金の歴史(明治時代~現代)】
子供向けの児童書ながら、明治時代以降の通貨の成り立ちや使われ方、流通していた通貨などが分かりやすく書かれています。
本ブログの管理人が参考にした書籍であり、日本の古銭入門にお勧めの一冊です。