明治4年(西暦1871年)、明治政府は新貨条例を出し、それまで地域ごとにバラバラだったお金の統一 並びに 金本位制の確立を狙いました。
この記事では新貨条例が制定された背景とその効果、そして新貨条例によって誕生したコインを一覧で紹介します。
新貨条例とは何か
新貨条例は明治4年(西暦1871年)に発令された日本最初の貨幣法です。
江戸時代の複雑な貨幣制度を整理して貨幣単位を円に統一。金本位制採用を狙いました。
江戸時代の日本のお金とその問題点
江戸時代には大きく3種類の貨幣と藩ごとに発行される多種多様な藩札があり、非常に多様かつ複雑でした。
3種類の貨幣貨幣とは、金貨、銀貨、銭貨の3つです。
金貨:いわゆる大判小判と呼ばれる俵状の大型金貨が有名
銀貨:丁銀、二朱銀など。特に西日本で多く流通
銭貨:円形コインの中心に四角形の穴がある形状が多い
ここで重要なのは、この3つはそれぞれ別の通貨であるということです。
現代のお金の単位が『円(エン)』の1種類であるのに対し、江戸時代はこの3種類のそれぞれに『両(リョウ)』・『匁(モンメ)』・『文(モン)』と別々の単位を使用していました。
交換比率も一定ではなく、金貨1両=銀貨50~60匁=銭貨4000~10000文と時期によってばらつきがあったようです。
さらに、金貨は1両=4分(ブ)=16朱(シュ)と4進法が使われており、非常に分かりにくかった点も重要です(銀貨・銭貨は10進法でした)。
新貨条例による日本のお金の変化
新貨条例発令に伴い、日本のお金の単位は『円(エン)』に統一されました。
基本的には小判1枚の額面価値1両が1円に置き換えられ、銀貨であっても銅貨であっても『円』の単位が使われるようになります。さらに1円=100銭=1000厘と10進法が採用されて分かりやすくなりました。
そして、これまで長く使われてきた日本古来のお金のあり方に変わり、新しく西洋式の通貨が発行されるのです。
新貨条例で誕生した明治コイン一覧
新貨条例に伴い、全部で14種類のコインが発行されました。
金貨(本位貨幣):20円、10円、5円、2円、1円
銀貨(補助貨幣):50銭、20銭、10銭、5銭
銅貨(補助貨幣):2銭、1銭、半銭、1厘
貿易銀:1円
明治30年には新たに貨幣法が成立して新たなコインが発行されます。その際に発行されたコインと区別するため、新貨条例に伴い発行されたコインは旧20円金貨のように『旧』の文字をつけて呼びます。
金貨一覧
新貨条例に伴い5種類の金貨が発行されました。
この中でも旧20円金貨は直径35mmの大型金貨であり、発行数・現存数ともに少なく、まさに明治コインの象徴的な存在となっています。
旧二十圓金貨 | 旧十圓金貨 |
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品位:金90%・銅10% | 品位:金90%・銅10% |
旧五圓金貨 | 旧二圓金貨 |
品位:金90%・銅10% | 品位:金90%・銅10% |
旧一圓金貨 | ー |
品位:金90%・銅10% | ー |
※画像はWikipediaから引用
銀貨一覧
新貨条例に伴い1種類の貿易銀と4種類の銀貨が発行されました。
1円銀貨は国内流通用ではなく、貿易で海外に支払うために作られた銀貨として作られました。収集家の間ではもっぱら『円銀』と呼ばれ親しまれています。
貿易銀(一圓銀貨) | 五十銭銀貨 |
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品位:銀90%・銅10% | 品位:銀80%・銅20% |
二十銭銀貨 | 十銭銀貨 |
品位:銀80%・銅20% | 品位:銀80%・銅20% |
五銭銀貨 | ー |
品位:銀80%・銅20% | ー |
※画像はWikipediaから引用
銅貨一覧
新貨条例に伴い4種類の銅貨が発行されました。
二銭銅貨 | 一銭銅貨 |
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素材:錫、 銅、 亜鉛 | 素材:錫、 銅、 亜鉛 |
半銭銅貨 | 一厘銅貨 |
素材:錫、 銅、 亜鉛 | 素材:錫、 銅、 亜鉛 |
※画像はWikipediaから引用