個人が保有できる資産は、大きく「実物資産」と「金融資産」の2つに分類することができます。
今回はこの2つの資産を投資という観点から見た違い、特徴を解説します。
実物資産とは
実物資産とは、金貨などの貴金属や土地・不動産のように形を持ち、その存在自体に価値がある資産のことを言います。
いずれも安く購入し高く売却することで利益(キャピタルゲイン)を得られます。また土地やマンション等は賃料による利益(インカムゲイン)を得ることもできます。
それ自体が価値を持つため、景気やインフレーション等の影響を受けにくい安全資産であると言えます。一般的に、堅実な投資を行う人ほど安全資産の保有割合が高くなります。
金融資産とは
金融資産とは、実物資産のような実体が無いか、あったとしてもそれ自体が価値を持たない資産のことを言います。
・現金や預貯金、外貨等
・株式やETF(上場投資信託)、債券等
現金や株式などは、それ自体はただの紙切れや卑金属(価値の低い金属)、もしくは電子データでしかありません。
これらは国や会社等の発行体が「価値がある」と定めているから価値を持つのであり、発行体が破産してしまえば一切の価値を失います。
実物資産同様、安く購入し高く売却することで利益(キャピタルゲイン)を得られますが、実物資産と比べるとハイリスクハイリターンです。
また預貯金や株式は利息や配当金による利益(インカムゲイン)を得ることもできます。
投資の観点から見た実物資産と金融資産の違い
実物資産と金融資産の違いを投資という観点から比較すると、以下のようにまとめられます。
実物資産 | 金融資産 | |
流動性 | 低い | 高い |
価値の安定性 | 高い | 低い |
リターン | 小さい | 大きい |
リスク | 小さい | 大きい |
まず、実物資産は金融資産に比べて流動性が低いという特徴があります。
流動性とは、ここでは他の資産への交換のしやすさを言います。例えば現金(金融資産)は簡単に商品と交換できますが、土地や建物といった不動産(実物資産)の場合、現金に変えようとしてもすぐには出来ず、場合によっては数か月~数年かかることもあります。
ただし金貨(実物資産)などは専門店に持って行けばその場で換金可能であるため、全ての実物資産の流動性が低いわけではありません。
次に、価値の安定性は実物資産の方が高いと言えます。これは金融資産の価値があくまでも「発行体の信用」に基づくためです。
例えば日本円の価値は日本政府が保証しています。すなわち「日本政府の信用の高さ」が日本円の価値に直結するということです。
日本政府の信用は極めて高く、日本円は安心して使える通貨ですが、例えば政治情勢が不安定な海外だと通貨の価値が急激に下がる(物価が急激に上がる)ハイパーインフレーションが起こることもあります。
これは株式や債券等も同様です。発行体の信用の変動に左右されるため、実物資産と比べると価値の上下が大きく、ハイリスクハイリターンとなります。
景気が良いときは金融資産の保有割合を増やして高い利益を狙い、景気が悪いときは実物資産の保有割合を増やして資産の減少を防ぐことが一般的です。
お勧めの実物資産はやはり金(ゴールド)
突然の経済混乱やハイリスク投資の失敗時へのリスク対応として、ご自身の資産に一定量の実物資産を含めておくことは必須でしょう。そしてその実物資産は「金(ゴールド)」を強くお勧めします。
ただし、一言に金投資と言っても、金地金、純金積立、金ETF、金投資信託、金先物取引など、いくつもの選択肢があります。
金投資の素人であれば、手軽に購入できる「金貨」か相場を見る必要のない「純金積立」をお勧めします。
手軽に購入できる 「地金型金貨」
最も手軽に金を保有するには「金貨」の購入がお勧めです。
・高価な金を比較的安価な値段(サイズ)でコツコツ買い集められる
・手元に置いておけるため、所有感がある
・さまざまなデザインがあり、コレクションとしても最適
・Amazonや楽天市場でも購入できる
ただ単に「お金を業者に預け、画面上のデータで “価値” を確認する」というその他の投資とは違い、「金(ゴールド)という現物を手元に置いておける」「好みの金貨をコレクションする」という、目に見える良さがある点が金貨の大きな魅力です。
コツコツと安全に金を積み立てる 「純金積立」
純金積立とは、毎月一定の金額を積み立てて少しずつ金(ゴールド)を購入していく手法のことをいいます。
毎月いくらとご自身が定めた金額で、「純金を積立預金していく」というイメージですが、基本的に金現物が手元に来ることはありません。会社が適切に保管(購入履歴のデータ保存)をしておいてくれるため、保管する手間が不要というメリットがあります。
会社にもよりますが、多くの場合指定した金額になるよう毎日買付を行います。例えば毎月3000円分積み立てるよう指定した場合は、1ヵ月が30日であれば毎日100円分の金をその日の値段で購入していきます。
ドルコスト平均法の効果を最大限発揮できるため、「守りの資産」として金を保有するのであれば、まさしく純金積立が最適でしょう。
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