経済的環境が不安定なときに強い金をはじめとする各種貴金属ですが、これらは立派な「財産(動産)」です。つまり、売却時など利益が発生するタイミングで税金を支払わなければいけません。
今回は金・銀・プラチナを投資目的で保有する際の税金についてご説明します。
「金・銀・プラチナへ投資してみようか」「貴金属の積立投資をしてみようか」とお考えの方は事前にご理解いただきたい内容ですので、どうぞ最後までご覧ください。
金・銀・プラチナ購入/売却時の消費税
金・銀・プラチナ等の貴金属は、購入時には当然消費税を支払う必要がありますが、売却時には逆に消費税を受け取れるという特徴があります。
投資用の金は専門業者から購入するものです。このとき専門業者に消費税を支払います。
積立投資のように、毎月ないしは随時追加で金を購入する場合も、「購入」というアクションごとに毎回消費税を業者に支払わなければなりません。
そして売却時には消費税分の金額を余分に受け取ることができます。
仮に2019年8月に10000円分の金を購入するには10800円(消費税8%)が必要ですが、売却時に消費税が10%になっていれば11000円で売却できることになります。(金価格の変動を無視した場合)
金・銀・プラチナ売却時の各種税金
貴金属投資で得た利益は「譲渡所得」であり、給与などその他の所得と合わせて「総合課税」の対象となります。貴金属の譲渡所得には以下のような特徴があります。
1.譲渡益が50万円以下ならば納税除外(特別控除)
2.年収2,000万円以下のサラリーマンの場合、課税所得20万円以下ならば確定申告不要(納税不要)
3.5年以上長期保有すると課税所得は半分とみなす
・課税所得 = 譲渡益-50万円(特別控除)
【例1-1】譲渡益が80万円の場合、課税所得30万円に税金がかかります
【例1-2】譲渡益が60万円の場合、課税所得は10万円となり、20万円以下のため税金はかかりません(確定申告不要)
・課税所得 = {譲渡益-50万円(特別控除)}× 0.5
【例2-1】譲渡益が100万円の場合、課税所得25万円に税金がかかります。
【例2-2】譲渡益が80万円の場合、課税所得は15万円となり、20万円以下のため税金はかかりません(確定申告不要)
株やFX等の投資と比べて、いかに貴金属投資が税制面で優遇されているががご理解頂けたかと思います。
具体的にいくらの税金がかかるのか
上で述べた通り、貴金属投資で得た利益は「譲渡所得」です。給与などその他の所得と合わせて「総合課税」の対象であり、確定申告をして納税する必要があります。
税金額の計算にはご本人の給与等のデータが必要となります。
計算式は複雑で難解ですので、「やよいの白色申告」というソフトを利用することをお勧めします。
無料で利用でき、簡単に税金額を計算できるだけでなく、実際に確定申告をする際には面倒な書類の作成も簡単にできます。
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売却金額が200万円を超えたときの扱い
金・銀・プラチナの売却金額が一度の取り引きで税込み200万円を超えたとき、貴金属の購入・売却時に利用する会社が、「金地金等の譲渡の対価の支払調書」をその会社の所轄税務署に提出します。
これは、金などの貴金属売却から得た利益を申告しない人が多く観察されたためです。
ご自身できちんと確定申告をすれば、この支払調書によりいわゆる「呼び出し」を受けることはなく、申告漏れがなければ追徴課税などの罰を受けることもありません。
他の収入との兼ね合いもありますので、不安であればお近くの税務署にご相談されるとよいでしょう。
損をした場合も、確定申告は有利に働く
通常は利益が出るときに売却したいところですが、一時的に資金が必要になった時など、損をしてでも売らざるを得ないこともあるでしょう。
・損益=購入額-売却額
この“赤字”は、他の所有物(ゴルフの会員権や美術品など生活に不可欠でないもの/1点30万円以上)を売却して得た金額と合わせて確定申告すれば、節税できることもあります。
しかし、これは1年限りのことですので、「わけあって手持ちのものを売り、お金を作ったがマイナスが出た」とわかったらすぐに税務署に相談に行き、確定申告をしましょう。
まとめ
金などの貴金属での投資で利益を得たときは、他の価値あるもの(不動産/有価証券など)売却時と同様、税金がかかります。
しかしながら、売却額すべての部分に課税されるわけではなく、いくつかの条件下では課税されないケースもあります。
重要なのは「5年以上保有すると有利」ということでしょう。お金に余裕があるときにまとめて買ったのなら、特別な理由がなければ、長く持っておくと税金の面でメリットを多く引き出せるのです。